人はやはり、自分の生まれ月が好きなのでしょうか。私は五月生まれですので、この季節がやはり一年で一番好きです。初夏。半袖を着始める頃。「とりあえず」じゃなくて、「とっても飲みたいから」ビールを注文する季節!雀も巣作りにいそしんで、チイチイチイと楽しそう。何ともいいですねぇ。
今年の始めに、仲良しの友人たちと集っていました。三十代の女ばかり。それぞれいい仕事をしているし、手前味噌で恐縮ですが、なかなかいい女揃い。ところが不思議と誰ひとり彼氏がいない。普段はそれなりに忙しいし、充実しているし、楽しいのだけれど、やはりバレンタインデー、誕生日などイベント時期はちょっと寂しいネッ、という何処でも聞きそうな話をしておりました。
「今年は、みんな誕生日に集まって、お誕生会をしよう!」
いずこからともなくそういう話が持ち上がり、それぞれが一斉に手帳を取り出して、まだ白い今年の手帳に、誕生日を書き込みあったのでありました。今年最初に立てた予定が誕生会……というだけで、何となく浮き浮きした気分。実際に、一人、また一人と誕生日を迎え、本当にささやかながら誕生会をしてお祝いすると、これが又、何ともいえずいい気分なのです。私の家で、心尽くしの料理とケーキ。ささやかなプレゼント……。
私たちの世代の人なら、小学生時代、誕生会をしてもらった記憶がある人も多いことでしょう。母親の作るご馳走(といっても、せいぜい海苔巻き、おいなりさん、唐揚げ、ポテトサラダといったところ。でも、これが飛びきり美味しくて!)に、ここぞのホールケーキ。丸ごとのショートケーキにロウソク立てて、まん中にはチョコレートの板に「○○ちゃん、お誕生日おめでとう」と記したものが置いてあって、それがまるで世界中の「スペシャル」を集結したかのごとく、神々しく輝いていましたっけ。家族も友人も、惜しげもなくプレゼントをくれるし、はしゃいでも大目に見てもらえるしで、子どもにとっては、誠に結構なイベントだったのです。
私が通っていたのは私立の私立の女子校附属でしたから、中には我が子可愛さでエスカレートする親も出てきて、行き過ぎた「お呼ばれ」「プレゼント」は子どもらしからぬ
、また、子ども同士の友情にも影響がある、という理由で、ある年からお誕生会が禁止になったほどでした。
そんな「特別な一日」の再現が、この年になって果たして可能かどうか……と、半信半疑で始めた我々のお誕生会でしたが、いえいえどうの。幾つになっても、やはり誕生日というのは特別
な日で、それを祝ってもらうというのは、もっと特別なことなのです。
各自、好物で誕生日を祝ってもらいます。私の誕生日はカレーパーティになる予定。
いい友に恵まれた幸せを感じています。
でも、「来年は、彼氏に祝ってもらうゾ!」というのが、それぞれの女の正直な胸の内でしょうか。今年一回切りのイベントにしておいた方が互いに良さそう。余りエスカレートすると、大人らしからぬ
し、女の友情に影響があるといけませんからね。
ぼーっと読んでいた、独身のあなた!頼みました。
(2002年5月)
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