◎『山のくらし』(2003年1月 〜 2003年5月掲載)
◎『心の図鑑』(2001年11月 〜 2002年12月掲載)
アロマオイル・姉さん人形・お面 ・メロンパン・肥後の守・とうがらし・においぶくろ・釜飯・きんちゃく袋・毛針・カレー粉・ほおずき・てぬ ぐい・ブリキの金魚
●●● 種を蒔く ●●●
春から秋にかけて、童話館の庭(くんぺいガーデンとよんでいます)には、多種多様の植物が茂り、花をつけます。その数500から700種。本当に?と、お思いでしょうが、本当です。
その中には、自然に生えてくるものもありますが、ほとんどが種を蒔いたり、苗を植えたり、別
のところから移植してきた植物たちです。とても手が掛かっています。宿根草は、毎年勝手に芽を出して花を咲かせてくれる種類の植物のことですが、これにもちゃんとサイクルがあって、何年間か勢いよく成長した後は、徐々に衰えて、やがて絶えてしまいます。
ですから、くんぺいガーデンは庭は毎年変化していくのです。
コスモスが終わり、秋が深まってくると、庭はどんどん寂しくなります。早くも一年が終わってしまうような、切ない気分になるのですが、庭仕事は少しも減ることがありません。今年の花が終わると同時に、来年の準備が始まるのです。
土に肥料を混ぜ込んで、痩せた土壌を回復させます。そして雪が降る前に、来年の種を蒔き、球根を植えてしまいます。何百個もの球根を植えて、来年の春を待つのです。
種を蒔き、球根を植える。-----これは、未来を作る作業です。
植物はそれに応えてくれます。
未来を信じなければ、種は蒔けません。愛を掛けなければ、花は咲きません。ポジティブに生きなければ、綺麗な庭は出来ないのです。
(2002年の個展『山のくらし』より)