FDL基本文法(JFDL version 0.92)
FDL研究会 佐藤皇太郎
目 次
1 文の種類
2 基本文型
3 動詞のまとめ
4 特殊な動詞
5 助動詞のまとめ
6 その他、FDL文法メモ
※ version 0.91 からの変更点は、茶色で示している。
※※ 現在、version 0.93 へ向けて仕様の追加を検討中。しかし、当面は version 0.92
と表示する。version 0.92(水色本『昔話構造分析のための昔話記述言語(FDL)の提案』掲載分)からの変更点は、赤色で示している。
1 文の種類
- 主文 … 行為・状態・存在を表す一般的な文。記述する際の文型は、続く「基本文型」以下の解説を参照のこと。
- 副文 … 主文に接続して、主文が成立する条件等を示す。文型は「$条件名 =(内容:主文と同じ文型)、」。
- 状況文 … 主文や副文(や時には場面の全体)を修飾する。「$状況名 = 内容」という単純な文型。
2 基本文型
- [副文や状況文、] 主語 動詞 [目的語][付帯情報(場所や目的などを表す)]…[
]内部は、省略可。
- 上記各パート間の区切りは、「 」(スペース)を用いる。副文や状況文は「、」のみで、区切っても良い。
- 各パートとも、複数の単語から構成されている場合は、「。」等で接続するか、(
)でくくって区切りを明確にする。特に、[目的語]部に、別の「文」が入れ子の様に入る場合も多いので、(
)を忘れないように、注意。
- [副文や状況文、]部は、既定義変数を用いて、「$時間 = 毎晩、」(状況文の場合)等と記述する。
状況文については「状況文、状況文、…」という具合に、連続して記述しても構わない。また、場面
全体を修飾している場合は、1行に状況文のみを書いても良い(この場合「、」は不要である)。
- [目的語]を2つ必要とする動詞もある。この場合、「~に」に相当する間接目的語には記号「>」を用いて「>犬」という具合に書き、「~を」に相当する直接目的語はそのまま「きびだんご」等と書く。
直接目的語と間接目的語の並び順は、任意(暫定仕様)だが、間に「 」(スペース)を挿入しておくこと。
→ 直接目的語と間接目的語の並び順は、下記の通りだと自然で分かりやすくなる様だ(暫定仕様)。
- 主語 動詞 直接目的語 >間接目的語
- 主語 動詞 >間接目的語 (直接目的文)
3 動詞のまとめ
(FDLによって昔話を記述する際には、モティーフ分析と同様に、「過去」のことを現在形で表記するので注意が必要。なお、以下の例文では、説明のために「現在」を基準としているので、実際には、過去の「その時」からの相対として読み替える必要がある)
【能動態として使う】 (「可能。」などの助動詞が付く場合もある。助動詞については「助動詞のまとめ」参照)
- 現在形 「男 埋める 壷」… 男は壷を埋める(FDL文中では、過去を表す)。
- 過去形 「男 :埋める 壷」… 男は壷を埋めた(FDL文中では、過去から見た過去)。
- 進行形 「男 :埋める: 壷」… 男は壷を埋めている(まさに現在、その行為をしている状態)。
- 未来形 「男 埋める: 壷」… 男は壷を埋めるだろう(FDL文中では、過去から見た未来)。
※ 参考:「男 !可能。埋める 壷」 の過去は 「男 !:可能。埋める 壷」
(埋められなかった)
【分詞として使う】 (一般に「現在分詞」と呼ばれているものは、FDLでは「進行分詞」となる)
- 現在分詞 「埋める。男」… 埋める男(そういう職業の人なのかも知れない)。「叫ぶ。声」だと「叫び声」。
- 過去分詞 「:埋める。男」… 埋められた男(生き埋めにされたのかも知れない)。
- 進行分詞 「:埋める:。男」… 埋めている男(まさに現在、「埋める」という行為をしている男)。
【受動態として使う】 (be動詞に相当する「=」と「過去分詞」または「進行分詞」を「。」でつなぐ)
- 過去分詞で動作受動 「扉 =。:開ける」… 扉が開けられる(FDL文中では「開けられた」)。
- 進行分詞で状態受動 「扉 =。:開ける:」… 扉は開いている(FDL文中では「開いていた」)。
※ 但し、「by ~」に相当するものが分かっている場合には、それを主語とする能動態にすること。
※※ 上記の例は、「開ける」という他動詞の場合だが、「開く」という自動詞では受動態を作れない。
※※※ 過去形や未来形を作る際には、「=」の直前・直後に「:」を付ける。
【状態を表す能動態】 (be動詞に相当する「=」と「現在分詞」を「。」でつなぐ)
- 現在分詞で状態能動:他動詞→「娘 =。着る 振袖」… 娘は振袖を着ている(FDL文中では「着ていた」)。
自動詞→「扉 =。開く」… 扉は開いている(FDL文中「開いていた」)。(状態)
- 比較用例文1 「娘 着る 振袖」… 娘は振袖を着る(FDL文中では「着た」)。(動作)
- 比較用例文2 「娘 :着る: 振袖」…(まさに今、)娘は振袖を着ている(着替え中)。(動作中)
4 特殊な動詞
- 複合動詞 … 例えば「切り殺す」等のように「切る」と「殺す」を複合して作られた動詞は、「。」を用いて、「切る。殺す」と表現する(主体となる動詞「殺す」の方が後になる)。これは、なるべく少ない単語で、複雑な表現を実現するための工夫である。また、「歌いながら踊る」ような場合、どちらが主たる動詞か決定できないので、「&」を用いて「歌う&踊る」と表現する。但し、例えば「取りに行く」は、「取る目的(;)で、行く」ので、複合動詞ではない。気を付けること。
- 「なる」… 英語における "become" に相当する。静的な状態を表す「=」と異なり、「なる」は動的な状態変化を表す。例:「男 なる 長者」…
話の中で長者になる場合。「=」を使うと初めから長者だったということになる。
- 「欲する」… 英語における "want" に相当する。例:亀 欲する (浦島太郎 乗る >亀。背)
- 「させる」… 英語における "let" に相当する。例:娘 させる (猿 登る >桜。木)
※「させる」の様に曖昧で便利な表現は、必要以上に多用してしまう危険がある。「命令する」や「依頼する」等と読み替えられる程度に明確な表現(=語り)がされている場合には、迷わず、それらの「より正確な(情報量
の多い)表現」で記述すべきである。
5 助動詞のまとめ
- 「可能。…」 → 「… できる」 「!可能。…」 → 「… できない」
- 「義務。…」 → 「… しなければならない」 「!義務。…」 → 「… しなくてもよい」
- 「奨励。…」 → 「… すべきである(した方が良い)※※」
「!奨励。…」 → 「… すべきではない」
- 「許可。…」 → 「… してもよい」 「!許可。…」 → 「… してはならない」
※ 以上の様に「!」は助動詞の前に付けること。「義務。!…」などという表記は認めない。
※※ 助動詞「奨励。」が「誘う」に近い意味で使われる場合もあるが、助動詞「奨励。」では「誘う」の意味をカバーできないことがあるので、動詞「誘う」も単語登録して使用することにした(例:「狐 誘う ($時間=夜、(狼 & 狐) 食べる: いなり寿司 @寺。本堂)」)。
なお、「奨励。」とは、基本的に「○○することを勧める」ではなく「○○することを勧められている」の意味なので、注意。
6 その他、FDL文法メモ(重要なもの)
- 人名以外の固有名詞(地名等)は、「#」(コメント部)に書く。「俵藤太 行く >山 #比良の山」という具合。
- 数の表現法(基本的に、算用数字〔1,2,3 … 等のアラビア数字=算用数字〕のみを使用する)
「蔵が、12 ある」→「蔵*12 =」
「十二番目の蔵」→「12。蔵」 (「番目」は、省略できるので)
「一の蔵から、十一の蔵まで」→「1。から。11。まで。蔵」
「1.5」は「1半」、「0.5」は「0半」とする。
→「1.5」は「(1 & 半分)」。例:「与える 団子*(1 & 半分) >子犬」
但し、月日については「一月」~「十二月」 と 「一日」~「三十一日」は、予約語(単語辞書に登録)とする。
例えば、「8月15日」は「8。月。15。日」ではなく「八月。十五日」と記述できる。ちなみに「三ヶ月間」は「3。月。間」なので、「三月。間」(三月の間)とは区別
できる。一方、「年」については、上記のような予約語は無い。
- その他、実例より:「all …」や「all of …」→「全て。…」。「娘の婿にふさわしい」→「ふさわしい。(娘。婿)」。
「棺桶らしいもの」→「棺桶。らしい。もの」。「小僧が寝床で寝たふりをする」→「小僧 寝る。真似る @寝床」。「田植えのために、人が1人足りない」→「人*1 = 不足 ;田植え」。
- 昔話では、物語の最後に「由来」を語ることも多いが、原則として、そこは「独立したMotif」にしておく。
以下は、《さらにその他「特定の単語に関する詳細な解説」など》← 構築中・・・あとでまとめます!!
- 単に「行く」とある場合、「(一般には)到着しているとは限らない」と言えます。例えば、
爺 行く >隣。村
爺 聞く 狐。声 @沢
・・・
と記述されていれば、「爺は隣村へ行く途中にある沢で、狐の声を聞いた」という意味になります。一方、
爺 行く >隣。村
爺 聞く 狐。声 @隣。村
・・・
であれば、「爺は隣村で、狐の声を聞いた」という意味になります。後者の1行目と2行目の間には(語られていませんが)「暗黙の到着」があります。この様に、続く文章により、「到着している」「到着していない」が判明するのは、「人間が物語を認識するメカニズム」を考える上で、非常に興味深い点です。
【補足】前者の「行く」を「向かう」にした方が分かりやすくなる場合もありますが、現実的には使い分けが難しく、「行く」で統一することにしました。
【さらに補足】似たような例ですが、
爺 帰る >爺。家
よりも
爺 帰る <隣。村
の方が「元の所に向かっただけ(到着していない)」という感じが強いです。
- 「○○する方法」は「(文)。方法」と記述する。例えば、「3人の男は、鬼を退治する方法を相談した」は、「男*3 相談する (男*3 退治する 鬼)。方法」と記述できる。
- 「掛ける」と「かける」は異なる。前者は「水を掛ける」や「布団を掛ける」という意味で使う。後者は「○○しかける」という意味で、常に「。かける」という形で、必ず前に動詞を従える(例:「蛇 飲む。かける 蛙」)。
- 「薬屋は道に迷いました」は「薬屋 迷う 道」。「道に迷う」という時の「道」は正確には目的語ではないが、FDLではこの様に表記する。
- 行為全体を止めたり、完了した場合には、
しゃもじ。裏 止める (長者。娘。尻 =。鳴る)
とか、
主人 言う (主人 :終える (主人 研ぐ 矢尻))
とする(文全体に対して、「止める」「終える」ことが可能)。
なお、下の例では、「終える」を過去形にしておいた方が意味が明確になる(主人が「言う」時点から見て相対的に過去であることを明示できるので)。
- $副詞副詞に「次々」を追加した。1行の要素文で、文字通り「次々」と行為を行うことを表現できる。
例1:
($副詞=次々、若い。女 噛む。切る 男*5。舌)~(男*5 死ぬ)
例2:
$条件=($副詞=次々、主人 射る 矢*12 >婆)、婆 跳ね返す
矢*12
上記の例1・例2ともに、「$副詞=次々」を含む部分(前者)と、それに続く部分(後者)が、前者1→後者1→前者2→後者2→ … という具合に時間が流れていく点に注意すること。もし、「$副詞=次々」が無いと、前者1→前者2→ … が全て終わってから、後者1→後者2→ … という流れになる。
- 立て札の内容は、例えば、
^立札。内容 = ($条件=(…)、…)
という具合に記述する。
- 「本物の爺さん」は「真。爺」、「偽物の爺さん」は「偽。爺」。
- 「=」と「同様」の使い分けについて。
大阪。蛙 思う (大阪 = 京都)
は、「大阪の蛙は、大阪を京都だと思いました」
大阪。蛙 言う ((京都 & 大阪) = 同様)
は、「大阪の蛙は、京都も大阪も同じ様なものだ、と言いました」
となる。後者の例で
大阪。蛙 言う (京都 = 大阪)
としないように注意!
- 「狐たちが松やにで人形を作る」は「狐** 作る 人形 <松やに」。
「+松やに」(道具を表す)より「<松やに」(材料を表す)の方が良い。
- 「気持ちが悪い」は「不快」(肉体的・精神的、両方に使える)としています。
- 単に「松」や「樫」と書けば、「松の木」や「樫の木」を表します。
- 擬人化している場合は、「雷」ではなく「雷さま」を使います(「雷さま」4話)。
- 『しっぽの釣り』で、狐が尻尾を引き抜こうとする「3回の繰り返し」シーンがありますが、その強さは、1回目「$副詞=弱く」、2回目「$副詞=強く」、3回目「$副詞=思い切り」としました(クレッシェンドの表現例)。
- 原則として1単語=1品詞ですが、例外もあります。
例えば、「一番」は$副詞副詞ですが、「$副詞=一番。…、」という使い方だけではなく、「鳥** 決める 一番。偉い。鳥」という具合に使用しても構いません(ここでは、形容詞群「偉い」を修飾している)。
- 「^」と「??」「$??」の組み合わせ。例えば、
鷹 提案する (鳥 = 鳥。王)
^鳥 退治する 熊 @裏山
では、2行目の「鳥」に関する文が、1行目のどちらの「鳥」について説明して
いるのか分かりませんが、
鷹 提案する (?? = 鳥。王)
^$?? 退治する 熊 @裏山
とすることで、「??」と「$??」が同一のものを指していることが分かります。
- 「提案する」などの動詞の対象となる内容が「^」などで分割されて2行以上に渡る場合、それを受ける「賛成する」などを含む文は、目的語(節)を伴わなくても良いものとします(読みやすさを重視して)。なお、この場合は、例えば、
鳥** 賛成する #賛成内容は上の2行を参照のこと。→実例は、5-51 Motif-3
という具合に、コメントに書いておくと親切ですね。もちろん、うまく1行に収まる場合は、原則通り必ず、「内容」も記述して下さい。
- 「(爺 & 婆) 尋ねる >金持ち (金持ち :なる 金持ち +?)」は、「爺と婆は金持ちに、金持ちはどうして金持ちになったのかと尋ねました。」です。「金持ち :なる 金持ち +?」は一見、不思議な表現ですが、動詞「なる」が過去形になっていますから、文法的にも全く問題ないことが分かります。
婆 尋ねる >爺 (婆 搗く 豆 +?(大きい。臼 | 小さい。臼))は、文法解説の例として使えるかな(2-34「豆っこの話」)。
- 「(文)」と「(文)」を「&」で繋ぐことはできません。
- 厳密には、「倉」(穀物や荷物をしまっておく建物)と「蔵」(邸宅・商店などに作られた保管用の建物)は異なるのですが、検索時の便宜を考慮し、「蔵」で統一することにしました。
- 日本語らしい表現:「象は鼻が長い」という文型の場合、主語を「象」にすると、FDLで表現するのが難しいので、「象。鼻 = 長い」とします。
- 「末娘 見つける 家。明かり*1 @山」という場合の「*1」は自明なので不要です。
- 行き先がはっきりしている場合は「主語 行く >○○」ですが、行き先がはっきりしていない場合は「主語 出掛ける」を使います。
- 時制について。
狩人 提案する >火車 ($時間=明日、 (火車 & 狩人) 比べる 力)
火車 承諾する >狩人 ($時間=明日、 (火車 & 狩人) 比べる 力)
という場合、「比べる」は未来形にしなくても良いです。
基本的に、時制を調整する「:」(過去形や未来形をつくる)は、誤解する可能性がある場合に、相対的な時制を明示的に指定するために用います。
- 「狩人。仲間」だと、その人は狩人ではない可能性がありますが、「仲間。狩人」だと、その人は狩人です。
- 前置詞「<(から)」「>(へ)」を両方とも含む文について。FDLの文法上は、「爺 帰る >家 <町」でも「爺 帰る <町 >家」でも、問題はありません(特に規定は設けていません)が、感覚的には後者の方が分かり易いので、今後、翻訳をされる場合には、後者のスタイルを推奨します。→時間の流れ順に記述すると言うことですね。「> <」でOFDAしたところ、問題無さそうです。
- 「$時間=((妹 作る ご馳走)。間)、」という具合に、$時間の中に「文」を含むことも可能ですが、特に「。間」などが付く場合には、上記のように、「(妹 作る ご馳走)。間」の全体をカッコで囲っておきます。
- 朝顔 言う >男 ((男 :起きる:) ~ (朝顔 思う ($時間=昼)))
[訳]朝顔は男に言った「男が起きているので、昼かと思った(だから閉じた)」
という具合に、「($時間=昼)」が目的語(節)となることもあります。
- $時間=(男 帰る)。途中、 男 入れる: 馬 >財布
[訳]男が帰る途中、男は馬を財布に入れようとした。
という具合に、「$時間」が「文」や「文。名詞」を従えることもあります(このような表記はできるだけ使わないようにしていますが、仕方なく使っていることもあります)。
- 何らかの原因によって、「音」がする場合(そしてその「音」を聞く場合)、
ペナンペ 聞く 音
^(子犬 落とす ??)~(音 生じる)
と記述します。
- 「+○○」(○○で)を付ける位置は、基本的には文の最後ですが、
「+」のあとに「@」がつくことは結構あります(その逆も、アリ)。
「+」と「@」の順番については、その文の動詞や目的語などの並びから、
より自然に意味が把握できる(誤解されにくい)順番にします。
- 「○○する」という動詞をFDL単語辞書に登録する場合、すでに「○○」が
名詞として類語国語辞典に収録されている場合は、「*」(未収録記号)を
付加しません。
(例:「追放」が「317b」なので、「追放する」は「317b*」ではなく「317b」)
- 夢の中に何者かが現れるシーンの表記は、5-15「猫の嫁」にならい、
アショロ。神 現れる @若者。夢。中
としました。初期の翻訳例では、
主語 夢見る (…) @夢。中 (← 1-6「鼻高扇」より)
という表記もあったのですが、前者の方がスッキリして分かり易いので、
前者で統一します。→「夢見る」6話。「夢枕に立つ」という意味では、使われていないようです。
- まだFDLの地の文の中で語られていない内容について「$経緯」を使うことは
できません。例えば、『ひひ神退治』の冒頭部で、
長者。家。人** :泣く:
六部 尋ねる >長者 $経緯
長者 言う >六部 《ここに理由が語られるが、本レポート上は省略》
とすると、ここに至るまでのFDLの地の文の中で「$経緯」が指している部分
を探してしまいますが、実際には、それに続く文の中で、六部に尋ねられた長者
によって、初めて、その理由が示されています。つまり、この様な場合には、
長者。家。人** :泣く:
六部 尋ねる >長者 ((?)~(長者 泣く))
長者 言う >六部 《ここに理由が語られるが、本レポート上は省略》
という具合に、「何が長者を泣かせているのか」と受けて、次へつなげます。
- ・「日はどこから(どの辺を歩いている時から)暮れてきたかね」「四方八方、まわ
りから暮れてきた」という勘違いの会話は、それぞれ〔以下、会話の内容のみ抜粋〕
($時間=(太陽 :沈む)、 男 = @?)
($時間=(太陽 :沈む)、 $自然環境 :なる 暗い @周囲)
という具合に、「太陽が沈んだ時に」を共通の時間として表現することで、会話が
かみ合っていないことを強調しました。もちろん、コメントで補足しておくことも
大切です。
なお、後者の「$自然環境 なる 暗い」という文型は、通常「$自然環境=暗い」
等と表現するところ、ここでは「自然環境の状態ではなく変化」を重視したかった
ため、イレギュラーな表現となっています(極めて少数と思われるので認めます)。
→問題なし。$自然環境でも「なる」を使え
→その後、
「$自然環境 なる 暗い」は使用禁止となりました。「$自然環境=暗い」
で、その時点から「暗くなった」ことを表現します。
- 「『とうかのばこつ』の正体は東の川の馬の骨だ、と博打打ちは考えた」は、
博打打ち 考える (とうかのばこつ。正体 = (馬。骨 @東。川))
#東河の馬骨 ←コメントで補足
しました。(馬。骨 @東。川)をカッコで囲い、意味を明確にしています。
(馬。骨 = @東。川)としても良かったのですが、「=」抜きで統一しました。
- 村人が男に「おまえ、(そこで)何してるんだ」と尋ねるのは、
村人 尋ねる >男 (男 ?)
です。動詞部に「?」が出てきた初めてのケースと思われます。
- FDLの地の文で「持つ。来る」「持つ。行く」の両方が使われていますが、
現時点でも、OFDAで「持つ。”移動する」と入力することで、どちらも検索に
ヒットします。(文法メモと言うより、OFDAの使い方だが…)
- $条件で、2つの条件を並列に置く場合、
$条件=((1番目の条件)&(2番目の条件))、
とします。
- 「全て」の品詞は「名詞」です。なお、「全て」に「**」は不要です。
例えば、「全て。客**」ではなく「全て。客」が正解です。
- 「ひょうたんの中には、何も入っていなかった」は
?? != @瓢箪。中
としました。コメント(#)でも補足しておくと、ベターです。
- 「AのことをBと呼ぶ」は「呼ぶ (A = B)」と表現します。例:
息子 思う (京都。人** 呼ぶ (柿 = しんじょう))
なお、この文型については、「FDL Meeting 2003/09/21」や「寝太郎」を
参照のこと(過去にも使われています)。
- 手紙の内容は、下記の形式で表現します。
手紙。内容=( ここに手紙の内容を書く )
必要があれば、上の文を複数行に渡り記述します。
- 「$副詞=100。回、」で、100回の繰り返し。
-
- 以下、FDL Meeting 2007/11/24 分へと飛びます(多分、2007年初???)。
2007年の見直し作業で、このページに載せるべき修正点があったかもしれ
ません!
- 3-60「犬の足」において、犬が神から貰った4本目の足を「4。足」(第4
の足)としました。「1。足」「2。足」「3。足」が地の文に出現してい
ませんが、このような使い方もOKです。
-
- 2024/3/24 動詞「戻る」についてメモ
医者 戻る >娑婆 ←これは「場所の移動」なので、前置詞「>」を使う。
金。茶釜 戻る 狐 ←これは狐の姿に戻ることなので、前置詞は使わない。
「昔話記述言語(FDL)の研究」ホームページへ
Copyright (c) 2001-2010 Kotaro Sato, FDL Research Group. All rights reserved.